コラム「組織の成長加速法」-第235回 長期低迷営業部門が予算連続達成へと変貌- 未達組織を常勝組織に変える鍵

努力が空回りする現場の「非効率コスト」をご存知ですか?
「先生、M支店だけ、どうしても成果が上がらないんです…」
ある企業の営業統括役員からのご相談でした。他支店では既に予算を達成し、次なる戦略に動いている中、M支店だけがどうにも数字がついてこない。
現場の空気は重く、支店長は「どう頑張っても空回りしているようで…。部下の動きが鈍く、毎日ピリピリし始めています」と、努力が報われないストレスに苛まれていました。
私は状況を把握する中で、この組織が抱える課題は「能力」や「努力」の問題ではなく、「仕組み」の機能不全であると確信しました。従来の研修や指導では手つかずだった、非効率なマネジメントのコストが、成果を蝕んでいたのです。
成果を阻む「わかっているのに、やらない」社員の構造
M支店長との面談で、問題はすぐに浮かび上がりました。
- 「問題は明確です。ある社員は、数字を達成した途端、手を抜くのです」
- この社員Yは「未来の支店長候補」と呼ばれるほど高いスキルを持ちながら、行動が持続しない。
- 別の社員は、特定の業務に差しかかると急に生産性が落ち、それが全体のボトルネックになっている。
経営者の皆様も、この状況に心当たりがあるのではないでしょうか。社員は「やるべきこと」を知っている。能力も十分にある。しかし、「なぜかやらない」ことで成果に結びつかない。
この「わかっているのに、やらない」という停滞は、実は能力の問題ではなく、「行動」を促す設計の問題です。他支店で成功モデルが確立し、「やるべきこと」が明確な組織において、「知っている」と「できている」を混同するマネジメントは、最も危険な誤解となります。
論点:非生産的な「言い続けるマネジメント」の限界とコスト
M支店長は非常に真面目な方でした。日々熱心に部下に声をかける。しかし、その実態は非生産的な「言い続けるマネジメント」でした。
「●●やった?」「●●はまだだよね?」「何度も言ってるよね?」
この愚直な声かけは、社員を動かすという目的を達成できず、支店長のストレスを増大させ、店舗の空気を重くする負のコストを発生させていました。
ここで立ち止まってください。マネジメントの目的は「言い続けること」ではありません。目的はあくまで「社員の行動を変え、成果を出すこと」です。
状況が変わらないならば、手段を変えるべき時です。非効率な反復作業(言い続けること)に時間を費やすことは、経営資源の浪費に他なりません。
マネジメントの時間の投資対効果を最大化する「2週間に一度、たった8分」
私がM支店に導入したのは、時間とエネルギーを浪費する従来のOne on Oneとは全く異なる、成果に一直線で進む「行動設計」です。導入したのは、たったこれだけです。
「2週間に1回、平均8分の短時間打ち合わせ」
結果はどうなったでしょうか。
- 即効性: 1年半、支店長が言い続けても動かなかった社員の行動が、初回の面談の翌日から変化。
- 持続性: 行動は3ヶ月以上継続し、支店長はピリピリする必要がなくなりました。
- 環境変革: 毎日叱責していた時間がなくなり、店舗の空気が一変。悪循環からの脱却が売上実績のさらなる改善につながりました。
- 時間対効果: 支店長の意図通りに部下が動くために要した時間は、2週間に一度、わずか8分です。
行動の変化を促す鍵は、「長時間の説教」や「強い指示」ではなく、「短時間の正しい設計」にありました。
御社のマネジメントは「コスト」ですか?「投資」ですか?
成果が出ない現場で、貴社の管理職は「もっと強く言えば動くはず」と、まだ非生産的なマネジメントを続けていませんか?
人は、意識や能力の問題ではなく、行動設計ミスによって行動が停滞することが大半です。
そして、その設計ミスは、この営業組織の場合は、たった8分(平均値)という最小のインプットで修正し、最大の成果を生み出すことができます。
御社の営業部門が抱える「わかっているのに、やらない」という課題は、部下の意識ではなく、マネジメントの仕組みに原因があります。
「言い続けているのに変わらない」現状を、いつまで放置されますか?
非効率な「言い続けるマネジメント」から脱却し、最小のマネジメントの時間投資で予算を連続達成する「常勝組織」への転換を、今こそ実現しませんか。