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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第14話 衰退組織は、今だけを見る 成長組織は、将来をも見る

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ある経営者の方と経営幹部、役員の方々のマネジメント能力の改善方法に関して意見交換しておりました。

私が、よくある事例を話していますと、その社長が「どうしてもそっちを優先しちゃいがちだよね。」というコメント。
「そうですよねぇ」と言いながら、二人で顔を見合わせて深く頷き合いました。


 

私が話した事例というのが、ある会社の役員の話。

その役員の方は、会社の稼ぎ頭である事業部を任されている方で、馬力あり、思考力あり、手も動くという、スーパープレーヤーです。

大口の顧客から依頼が来ると、フットワーク軽く顧客と話して、顧客の裏のニーズを引き出し、提案書をザクザク作り上げる。

こうして、創業から今まで売上げをグングン拡大させてきた方です

ベンチャー企業の役員になる方々は、こうしたスーパープレーヤーが 多い印象です。

何もないところから、創り上げるわけですから、試行錯誤、工夫を屁とも思わずにやる方々です。 後から入社して来た人には、怪物みたいに見えるようです。

とはいえ、
組織が大きくなると、どんなにすごいスーパープレーヤーであっても、その人の持ち時間は、他の人と同じ24時間。 コンピューターじゃないですから、仕事とスピードにも限界があります。

ところが、この限界値。他人には、「最近うまく仕事が回ってない感じがするね。」と
明かでも、本人には分からないもの。

本人は、歯を食いしばって頑張って、
先月まで出来たから今月も大丈夫
去年まで出来たら今年も大丈夫
と考えるのです。

確かに、スーパープレーヤーと入社仕立ての社員と比べると全てにおいてスピードがまるで違います。
予算の達成、効率性を考えたら、部下に教えたり、新しい人を雇ったりするよりも、スーパープレーヤーがもうちょっと頑張れば、確実に数値が達成できます。

既に時間を惜しんで仕事をしているスーパープレーヤーにすれば、うすのろいカメに見える部下に教える手間がもどかしくてたまりません。

また、生き馬の目を抜くベンチャー企業にあって、達成が簡単な予算なんかありません。
「『手取り足取り』なんて生やさしいやり方は、我が社にはあるまじき事!」というように思ってやっていましたし、そう簡単に切り替わらない。
本人は、愛社心もあり、忠誠心もあり、目標達成意欲もあります。

何も悪気ないのですが、本人が限界を超えた時点でこのスーパープレーヤーは会社のお荷物に変わるのです。
組織を衰退させる張本人になっていきます。


 

こうしたスーパープレーヤーの限界値近くで組織はとても不安定になります。
本人も仕事が以前のように掃けないことを認識すると、まずやることが、人を補充することです。
ところが、受け入れ体制なんかありませんので、補充した先から辞めていきます。

ここまでくると、これはもう悲劇としか言いようがない。


 

全てのリーダーが肝に銘じておかなければ言葉があります。
それは、「一人の100歩よりも、100人の一歩」です。

どんなに優秀でも、100人が束になって掛かってきたら一人一人はへなちょこであろうと、その戦いに負けるのです。

だから、リーダーは、一人で戦う前提にしてはダメなのです。
「部下ができはじめたら、如何に自分がマネジメントに注力するか?」だけを考えるべきです。

一時的に自分が手を動かす場合は、自分の中で、厳密に期間限定を肝に銘じて進めるべきなのです。


 

話を事例に戻します。

プレイング状態が長く続くと、すんなりマネジメントに以降できる人はとても少数派。
その役員もそうでした。

その状態を放っておくと、組織が衰退していきます。
組織の長は、自分がボトルネックになっていることも気がつかずに目の前の売上げを追っていきます。

こうした役員やスーパープレーヤーにマネジメントの重要性の話をすると、大概とても乗り気な様子で「是非、自分もマネジメントに移行したい!」と言います。

「よし、それなら、」とステップを紹介しますと、その時も概ね「是非やりましょう」と言います。

ところが、1ヶ月後にお会いすると、

「いろいろ環境要因、原因があって、出来なかった。 結局何も進まなかった。変わらなかった。」 ということになるのです。

多くの場合、
現状の状況と将来を照らし合わせると、どうしても現状に流れてしまうのです。


 

一方、首尾良くいくとどうなるのかというと、スーパープレーヤーのマネージメント比率が高くなると、組織がまるで違うステージに変わります。

何よりも大きな違いは、マネジメントの割合を増やすことができると、「次」を考えられることです。将来を考えることです。

来年、再来年の売上げを達成するために、「今すべきこと」という発想が生まれます。

この未来から逆算するという思考を持たずして組織の持続的な成長などありえません。

もちろん、これは「今」を軽視することではありません。「今」は何時でも最重要です。そんなことは当たり前です。 今がガタガタで、将来が盤石なんてことはあり得ません。だから、今月の予算だって達成します。

それに加えて、組織の成長のためには、未来への布石が 必要不可欠です。これも、成長組織には当たり前のことです。


 

残念ながらこれは体験してみないと分からないこと。

一度このステージに上がった人が元に戻ることはありません。 組織を動かしている実感ってあれほど心地よいものはありませんよね。

きっと一度体験できるなら、誰しも其処に向かっての投資を惜しまないでしょう。
忙しいを理由に、今だけの成果だけを見ることもないでしょう。

だって、組織が変わるのですから。

ところが、
このステージを経験しない人がぴょんとこのステージに飛び残ることも偶然にはなかなか起きません。

今しか見えない現状のステージと次のステージには大きな断絶があるんです。

では、「どうやったら、次のステージに上がるのか?」ですが、これはもう技術として確立しています。

これは全てステップに分解されています。例えば、まず、成長組織を創り上げる概念を理解すること。その概念が理解できたら、後はステップを順番に上るだけです。

先ほど出てきたような、途中のステップで多くの人が陥る後戻りもそのステップには織り込まれています。もう再現性が可能なステップです。


 

御社の今の売上げを支える役員、スーパープレーヤーは、御社にとってかけがえのない宝であることは間違いありません。

ただ、この後10年間、現在の役員、スーパープレーヤーが継続して、今のままそう有り続けることは余程幸運でも無い限りまずあり得ません。

よく言われることですが、一人に頼ることのリスクは、年々増大するのです。それが御社に起こりつつあることです。

一方、事業を支える役員やスーパープレーヤーが組織を使って、今よりもっと大きな飛躍を創り出すことは夢でも何でも無く、ただの技術です。

是非、御社の事業を引っ張っている役員や、スーパープレーヤーを 引き上げ、次のステージに導いてあげてください。更なる成長に間違いなくつながっていきます。

さて、最初のステップは、現状を確認することです。

御社には、活躍している役員、スーパープレーヤーのマネジメント割合が
自然に上がっていく明確なステップがありますでしょうか?