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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第47話 衰退組織は「去年と同じ」を踏襲して失速する 成長組織は「去年と違う」にチャレンジして成長する

「研修もいろいろやりましたが、OJTが中心ですね。現場でやらないと身になりませんから。」と笑顔でお答えくださったY社長。真っ黒に日焼けしているので、笑顔になると歯の白さが際立ちます。一代で会社を大きく伸ばした年商60億円の企業のトップで、エネルギッシュなY社長。

現場を知り尽くし、多くの社員の成長する様を見てきたY社長が語ることには真実が隠されているのに違いありません。

事実、これまでお会いしてきた多くのオーナー企業の社長も同様にお答えになる方がとても多いのです。

「『結局、営業の現場、製造の現場、企画の現場、作業の現場、その現場で次々と
直面する問題にどのように対応するか?』でしょ?」

多くの上場企業の事業部長もOJTが社員教育の核であると異口同音におっしゃいます。

確かに、現場での学び重要です。

ところが、ベンチャー、オーナー企業の経営者、上場企業の役員、事業部長に次ぎの質問を
すると途端に口が重くなります。

それは、
「とすると、順調に人が育っているということでしょうか?」という問いです。

この質問をすると、苦虫を潰したような顔をされるのです。


私自身も、部下育成でやってきたことは、当初はOJTのみでしたから、皆さんがOJTが一番の学びであるということはよく分かります。

その一方、自分自身を振り返ってみると、「OJTだけでは部下が成長しない」という経験もしています。実際にあったことですが、部下が出来て、何をしたらよいか分からないから、取りあえず教えたら、それは、OJTと言われた。でも行き当たりばったりで、結局思うようにいかず、、、部下は腐っていったのでした。

そして、現在の仕事をする中では、私自身のOJTではなく、数百社のOJTを見てきました。そこで、断言できます。

「OJTだけで社員の成長は実現できない」ということ。

 

もしOJTで社員が成長するならば、そもそも、どの企業も社員の育成、リーダーの育成の問題は存在しないはずですから。


営業会社の営業マンをまだほとんど売れない2年目から、トップの成績を収める5-6年目、そして、6-7年目の営業部門のリーダーまでのコンサルティングをしたことがあります。

「リーダーになるための条件は何だろう?」とリーダーになる手前の若手に質問すると、全員がまるで洗脳されたかのように同じように答えます。

「知識や、業務を効率的、効果的にこなすスキルが大切である」と。

よくよく考えて見ると当然です。なぜならば、OJTの中心は、知識の獲得、現場に対応するスキルの向上だからです。

OJTは上司から部下への一方通行の情報の流れがあるのみで、暗記作業の連続です。知識やスキルは、課題対応を考えるための土台ではありますが、OJTでは「考える」作業がほとんどありません。

実は、多くの企業もこの事にうすうす気がついているのです。ところが、有効な打開策がない、だから、「去年同様、取りあえずOJTで」ということが繰り返されてしまっているのです。

その結果、育つはずの社員が育たないばかりか、数年たって、そこそこの知識をつけた頃、「さぁこれからだ!」という時に退職してしまうのです。これが多くの企業が直面している現実です。


成長企業は、OJTを補完する社員育成の仕組みを持っています。例えば、「リーダーシップ」のある社員が欲しいなら、「リーダーシップの基本動作」が日常的な社員育成の仕組みに入っていなければ「リーダーシップ」を発揮する社員が現れることはありません。

「(任せられる)リーダーが育っていない!」
「(部長から)提案がない!」
「役員が新しいことに挑戦しない!」

は、全て仕組みがないことが原因です。

例えば、リーダーシップの基本動作は、

「考え」⇒「周りを巻き込み」⇒「結果検証して」⇒「考え」⇒「少し違うやり方で実施する」

です。

この基本動作を身につけることを仕組化してしまえば、当たり前のように、「考え」「自ら動く」社員が出てきます。九九を暗記したら、1×1から9×9までは、半自動的に答えがでるのと同じくらい、当たり前にできるのです。

このように話すと、どれほど、複雑で精緻な仕組みかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

この仕組みで使うのは、A4のシート一枚です。

シンプルだから誰もが使うことができ、シンプルだから継続できるのです。もし御社で、新卒が入社してから時を経る毎に、自ら考え、行動する社員が育つとしたらどうでしょうか?

会社の未来が大きく変わりませんか?

もちろん、シンプルとはいえ、簡単に根付くものではありません。ですから、一刻も早く社員育成の仕組みを導入し、確実に人が育つ仕組みを手にする必要があるのです。

成果が出ないのに「去年と同じ」では、衰退する環境を自ら作り上げるようなものです。少なくとも、少しでも改善して「去年と違う」何かで、成果を変えるための可能性を広げるべきです。

人口減社会に突入して、社員の育成はもう待ったなしの様相です。会社の将来を左右する経営課題です。

社員育成の仕組みを持つ企業と、仕組みを持たざる企業。
御社はどちらでしょうか?