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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第125回 我慢強い社員を前提にした組織は○○する!

関西地方で、ある事業分野においてNO1を目指している企業があります。そこで執行役員兼、営業本部長である、56才の部長Mさんが半年間のコンサルティング終わった時、次のような感想を頂きました。

「自分はできていると思っている部下をもつ上司にこそこれは必要です。」

Mさんは、業界経験も長く、業界で名だたる会社を、ヘッドハンティングで渡り歩いた方。
小中高は野球一筋だったというMさんは、がっちりして、背も高い。180cmを超える大柄ですが、姿勢がよいので、更に大きく見えるのです。

声も大きく響くのですが、営業スタイルは、「エレガント」がキーワードだそうで、とても物腰がよく紳士的。そのギャップがまた顧客にとって印象的だったのか、とにかく蒼々たる実績を上げてきた方でした。

技術系だったK社長が起業した時、古くからの知り合いというご縁で、この会社の営業を一手に引き受けたのが、Mさんでした。


間違いなく、組織の功労者だったMさんですが、このところ、社長から厳しい指摘をされることが増えていました。一体何があったのか?

K社長曰く、組織は増えたと思えば、元に戻り、また増えては戻りと安定してこなかったといいます。K社長は、新しい技術の導入をいち早く取り込み、商品開発に集中してきました。

ところが、折角商品を磨いても、営業力が伸びずに、何度も飛躍のチャンスを逃してきたというのです。

社長は、どちらかというと対人より、技術が得意なため、営業はMさん任せでした。Mさんは、実績があったとめ、組織もドンドン作ってくれるはずだし、もし、Mさんが上手くいかないとしたら、それはよっぽどのことなのだろう、と考えていたのだそうです。

今回、K社長は、Mさんと対話をする機会を作ってもらいました。すると思いがけないことに気がついたというのです。


Mさんと話をしていて、Mさんは自分で数字を作ることは得意なものの、組織を作ることは、得意ではないことがわかったそうです。

K社長は技術系の方らしく、何か問題があると、必ず原因を追求します。K社長曰く、電気系統でトラブルがあってシステムダウンが起こった時、怪しいところをそっくり取り替えて、回復したとしても、それは問題解決とは呼ばない。とのことでした。

再発する可能性があるため、本当の原因は何か確認した上で、回路設計からやり直すべきなのか、絶縁体の部材を変更すればいいのか、原因を特定し、再発しないための策をうつことが大切だと。

Mさんと話していく中で、「なんとなく」ダメだったので、「なんとなく」やり方を変えた。そしたらうまくいった!というような会話が多く、驚いたそうです。

組織が大きくなっては壊れ、壊れては採用し、ということを繰り返してきた理由がようやく分かったともおしゃっていました。Mさんの組織運営は、確固たる方法論に根ざしたものではなく行き当たりばったりだったことが明らかになりました。


一方のMさん。顧客や外部には、とても物腰が柔らかいのですが、相手が部下になると、随分違う印象でした。

部下との面談時のMさんは、「エレガント」な印象は皆無。仏頂面で、ぶっきらぼう。「なんで出来ないの?」「なんでやらないの?」「どうしてそうなの?」と成果の出ない部下になればなるほど手厳しい。詰められた部下は、ただただ、下を向き、謝罪、謝罪の連続です。

私はMさんへ、部下との接し方が今のスタイルになった理由を聞いてみると、自分が若い頃、このようなスタイルで育てられた、という答えが返ってきました。

決して心地よくは無かったが、このスタイルでやってもらったからこそ、今の自分があるとのこと。

Mさんの同期は、30名弱で1年でほぼ全員いなくなり、3年で2名しか残らなかったそうで、その2名の内の一人がMさんだったというわけです。Mさんは、営業職というものは、そういうものだと思っていたようです。

Mさんが不意に、「今の若い人達は、堪え性がないですよ」と言いました。この3年でどのくらい辞めていますか?と聞くと、丁寧に調べてくれました。

その結果、18名入って、15名が辞めていました。「Mさんの同期よりも、残っていますね。」というと、意外だという表情をされました。


Mさんも、そして、Mさんのかつての上司も、やっていたことは、必要以上に人を辞めさせていたのです。

「(辞めていった人は)出来なかったから、仕方がない」というのは、良い言い訳ではありません。そもそも、部下は「出来ない」が当たり前だからです。自分が相手を磨く能力がないことを棚に上げ、単に組織から人を削っていただけです。

少数精鋭に絞り込む、というと聞こえはいいですが、何か基準があって意図を持ってそうしたのではなく、単に残った相手は我慢強かっただけです。

我慢強い人じゃないければ生き残れないという組織があるとすれば、もうその組織は、拡大できません。もし、世の中から我慢強い人が減れば、その組織は絶滅するほかありません。

経験値がない相手に、経験値が高い自分の期待を押しつけておいて、相手に正論をぶつけても、相手のプライドを削り、相手のやる気を削り、結果相手の行動を削り、相手の自信を削り、相手の結果を削りとっているのです。


K社長は、逆に対象的でした。現場を周り社員を激励し、他業界から転職してきた技術者達に新しい技術の吸収をいつもいつも促していました。

部下達がアイディアを出すと、それが仮に間違っていても、それをきっかけにアイディアを磨くことを繰り返してきました。結果、ほとんど素人に近かった人が学びながら、現場をこなし、今では役職者として、部下を育成するまでになっていたのです。

K社長のそのやり方は、大学時代にK社長が出会った恩師のやり方を真似たやり方でした。MさんもK社長も、やり方は違えど、共通点がありました。それは、自分がやられたように、相手に施すということ。これは多くの企業で幹部の人材育成のスタイルの起源をたどると共通すことです。

K社長自身にも、この技術を身につけて頂いたのですが、ある意味なんとなくやっていた部分があったため、「意図」を込めてやることで、部下の成長スピードが早くなったと喜んでいました。


さて、御社では如何でしょうか?

御社のリーダーは部下を磨き、組織の成果をふくらませているでしょうか?それとも、部下を削り、組織の成果をへこませているのでしょうか?

もし後者の場合は、マネジメント技術の改善をし、部下を磨く方向に向かっているでしょうか?組織の成果は増えていく方向にありますか?