代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第250回 新社長が古参幹部を味方につける方法 

「木村先生、あの部長はもう無理です。何を言っても変わりません…」

先日、二代目の社長からこんなご相談を受けました。創業社長の右腕として会社を支えてきた営業部長。実績は抜群。しかし、新体制になってからは方針に公然と異を唱え、若手が次々と辞めていく──。

同じようなご経験、ありませんか?


■ ベテラン幹部が組織成長の“ボトルネック”になる瞬間

創業期を支えたベテラン幹部。売上の柱であり、社内の影響力も大きい。だからこそ扱いが難しい。

「実績があるから強く言えない」

「辞められたら困る」書く

この葛藤の中で、組織は徐々に停滞していきます。

特に二代目・三代目の経営者にとっては、“先代の影”との戦いでもあります。忠誠心が強い幹部ほど、新しい方針を「否定」と受け取ってしまう。すると、対立構造が生まれます。

ですが、私は断言します。

50代のベテランは変わらないのではありません。変え方を知らないだけです。


■ 「厄介者」の正体は“強すぎる正義感”

問題を起こすベテラン幹部の多くは、会社への愛着が強い。

自分なりの成功体験がある。

だからこそ「自分のやり方こそ正しい」と信じている。

悪気はありません。

むしろ、会社を守ろうとしているのです。

しかし、その正義感の矛先が過去に向いている限り、組織は未来へ進めません。

必要なのは、エネルギーを消すことではなく、“向きを変える”ことです。


■ 鍵は「行動指針」という舞台装置

私が支援した企業での事例です。

先代時代の行動指針が形骸化していました。そこで新社長に提案したのが、あえてそのベテラン部長を「見直し責任者」に指名すること。

結果はどうだったか。

出てきた案は、ほぼ以前と同じ内容。語尾を変えただけ。

しかし、それは狙い通りでした。

なぜなら、

“自分が作ったルール”には、人は逆らえないからです。

その行動指針を正式採用し、全役員に実践を求めました。

そして同時に行ったのが、個別面談です。


■人は「指示」ではなく「選択」で変わる

ここで活用したのが、私たちが体系化している対話の型です。

その部長には、最初のテーマとして「素直さの実践」を提示しました。

これは決して嫌味ではありません。

“組織規律を守ることこそ先代への忠誠”という文脈をつくったのです。

面談後、社長から連絡がありました。

「即日で変わりました。」

態度が柔らぎ、会議での発言が変わり、若手への接し方が変わった。

人は何歳からでも変われます。ただし、正しい仕組みがあればです。

 「ベテランは変わらない」は幻想です

評価制度を入れれば解決する・・・

若手を増やせば解決する・・・

人を入れ替えれば解決する・・・

本当にそうでしょうか?

仕組みだけでは足りません。

仕組みを動かす“仕組み”こそが本質です。

ベテラン幹部を排除するのは簡単です。

しかし、それは組織の資産を捨てることにもなりかねません。

強い正義感を持つ人材を、最強の味方に変える。

これができれば、組織の成長スピードは一気に加速します。

■まとめ:ベテラン幹部マネジメントの本質

・50代の幹部は変わらないのではない

・変わらないのは「仕組み」と「対話」が不足しているから

・正義感の矛先を未来へ向ける設計が必要

・鍵は行動指針の再設計と個別対話

さて、御社のベテラン幹部はどうでしょうか?

「変わらない人」だと決めつけていませんか?

それとも、まだ可能性を信じますか?

組織を止めているのは人ではありません。

変える覚悟を持てない経営者側かもしれません。

ぜひ一度、点検してみてください。