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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第163回 箱根常勝集団と成長企業の共通点

 

年初に東京にいらしていたF社長とランチをご一緒しながらミニ新年会。様々なお話をさせていただく中で、箱根の青学優勝の話しで多いに盛り上がりました。

F社長曰く、「原監督に関する報道を聞いていて、原監督のチームの強化方針は、木村先生の話しと共通するなと思ったのです。」と。そこから、しばし箱根駅伝の話しとなりました。

F社長がそのように感じたのは、偶然ではありません。組織の作り方という面では、団体競技の常勝チームの作り方には実は共通点が多いのです。そのため、強くしなやかな企業組織を創り上げる手法と団体競技の常勝チームの作り方との比較を常に行っていますし、ご支援先企業で、ご説明するときも常勝チームの事例を合わせてお伝えする機会も多いからです。


2024年に2大会ぶりに優勝を果たした原監督が以前から力を入れたことがありました。
それは、生活ルールの徹底、取り組み姿勢の徹底です。これは、能力の高い選手を揃えても、ちっとも成績が伸ばせなかったことを踏まえてのことでした。

もちろん、社員と学生を同じように扱うことはできません。企業で実践する場合は、やり方の調整が必要です。ただ、このルールを守ること、仕事へ取り組む姿勢の改善を実践することの2点は、企業組織でも大変効果を発揮します。まさに短期間に組織が変わるきっかけとなります。

多くの企業では、こうした取り組み姿勢や、ルールの徹底への取り組みよりも、能力面の向上に関する取り組みへより多くの比重をかけます。

例えば、売上目標の達成のためには、営業スキルの向上に力を注ぎますが、仕事の取り組み姿勢については具体的に改善するよりも、注意喚起程度の働きかけです。

本来、売上目標を達成すれば、企業業績は改善し、関係者全員がハッピーになる仕込みのはずです。営業マンにとっても良いことしかありません。

ところが、これがなかなか達成されない。

売上目標の達成のために、能力アップだけに力を注いでもなかなか達成されないのは、理由があるのです。

その理由とは、原監督が語る、「常勝チームになるはずの能力の高い選手を集めても組織の目標を達成できなかったという」過去の失敗の理由と同じです。


ご支援先の企業では、何十人という若いリーダーが、入社1年目、2年目を指導して、社歴10年以上の先輩達が舌を巻くような成果を次々と生み出すことが、業界、業種関係なく実現しています。

多くの人には、魔法のような出来事のように見えるこの事実の背景には、青学の成功要因と共通する内容が隠されています。

能力を伸ばすことももちろん大切なことなのですが、いくら能力があっても、仕事への取り組み姿勢のレベルが低い場合は、せっかく能力を発揮する機会が少なくなりますし、その能力を最大限に活かすこともできなくなります。

若いリーダーが徹底的に取り組むのは取り組み姿勢と、ルールの徹底です。

よくよく考えてみますと、世界最先端の技術開発の現場を除き、多くの企業の日常の業務の一つ一つは、それほど高度な作業ばかりではありません。むしろ、一つ一つの作業を繰り返し、一定のことをやり続けることで成果につながります。

「続けるべきことを、ただ、成果が出るまでやり続ける姿勢こそが、成果を変える最重要の要素」とも言えのです。

また、業種業態が違えば、アプローチ方法も違います。そのアプローチ方法の違いは、それぞれの企業が業務の進め方として設定しているルールの違いに他なりません。


即戦力として採用した中途採用の社員が、いまひとつ活躍できずに、がっかりした経験をお持ちの経営者の方は少なくないと思います。

この問題の原因の一つも、仕事に対する姿勢の違いにまつわる部分が色濃く絡みます。能力とは違う、考え方、取り組み姿勢の違いが、即戦力であるはずの、中途社員のパフォーマンスに大きく影響していきます。

多くの経営者ですら時にその対応に苦慮することがあるこの問題ですが、中途社員よりも社会人経験が少ない若手リーダーが易々と改善してしまうことがあるのです。

少し想像していただきたいのですが、御社の若手リーダーに対して、年上の社員の仕事の取り組み姿勢や、考え方を変えることを3ヶ月で変えるように指示を出したら、どんな反応をするでしょうか?

おそらく、苦悶の表情を浮かべることでしょう。そのやり方を授けずに、無理くりやらせたら、若いリーダーの中には、ストレスで身体を壊してしまう人も出てくるうやもしれません。

一般常識に照らして考えてみても、年上の仕事への取り組み姿勢を、年下の若手リーダーが、素手で対応するには、確かに大変そうです。

しかし、年上で、しかも中途社員の仕事の取り組み姿勢や、考え方を変えることは、ステップ通り、進めていくことで、これまで何十人もの若手リーダーがそれを実現させています。

一般的には大変難易度が高いといわれる、年上の部下の扱いでさえ、実践技術があるのです。この技術を淡々と使えば、相手が年上であろうとも、中途入社組みの頑固な社員であろうとも、着実に変化を創り出すことができます。

最近の新聞には、高齢社員の活用が、未曾有の人手不足の鍵であると書かれています。「まぁ、確かにそうだよな」と思う一方で、少なくない経営者の方は、この選択肢の採用には躊躇するはずです。なぜかと言えば、多くの組織において、年上の社員の扱い、中途入社の社員の扱いには、成功体験が少ないからです。

これはあくまで私の勝手な考え方なのですが、もしマネジメント技術を手にして、他の会社ではなかなか扱いに困る課題を、易々とクリアできたとしたら、これは圧倒的な強みになると思うのです。競合他社を圧倒できるはずです。

もちろん、私は、この事例を数多く目撃しているので、確信をもって言えることです。単なる空論ではありません。

手法さえ手にしているのであれば、まさに新聞に書かれているように、人口減の時代にあって、活用すべきは高齢の社員というのはそうなのでしょう。


組織を変えるのは、能力アップと同時に、仕事への取り組み姿勢や、ルールの徹底といった振る舞いの改善が鍵となるのです。これこそが、成長企業と、箱根常勝チームとの共通点です。