代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第251回 向上心があるのに、なぜ空回り・・・その時の対処法

以前、ご支援先の中堅リーダーのKさんとの面談で、こんなやりとりがありました。

複数の部門のリーダーから、
「時々ぼーっとしていることがあるから、少し注意してほしい」
と言われたそうです。

「改善できそうですか?」と私が聞くと、

「はい、直します。」とKさん。やる気は十分。改善意欲もあります。

一抹の不安を覚えて、私が「ところで、ぼーっとしてるのは、どんな時ですか?」

と問うと、案の定こんな返事が返ってきました。
しばらくすると、また同じことが起きそうになる。

「え?ぼーっとしてるのは、、、」「ん?俺、ぼーっとしてることあるのかな。」「いつ?

いつかな?・・・」


改善する際にやる気だけでは不十分

リーダーの方々は、社員の振る舞いに問題を見つけると

「意識が足りないのではないか」
「緊張感がない!!」

となりがちですが、本当の問題は別のところにあります。

Kさんに起きていたことはもっとシンプルです。

本人が事実を事実として認識できていなかった。

「ぼーっとしている」と言われても、

「え? そうでしたか?」

となるうちは、現状は本人の中に存在していません。

事実として自覚していないものは、修正できません。

これは当たり前の話ですが、
組織の中では、驚くほど頻発していることです。


改善の前に、現状がある

問題解決の基本は何でしょうか。戦略でも、対策でもありません。まず、事実確認です。

現状把握です。

現状が曖昧なまま、

「改善しよう」
「徹底しよう」
「意識を高めよう」

と言っても、改善点は定まりません。

何を直すのかが、本人の中で明確になっていないからです。

これは組織の中で、日常的に起きています。

・営業は「やっています」と言うが数字は伸びない
・幹部は「改善しています」と言うが部下は変わらない
・会議で「共有しました」と言うが現場は動かない

共通しているのは、
事実が本人の中で整理されていないこと。

では、どうするか?

やるべきことはシンプルです。

まず、本人に問いかける。

「どういう時に、その状態が出ていると思う?」

ここが出発点です。

 

最初は出てこないかもしれません。

しかし、自分で考え、「もしかすると、仕事が一区切りついた瞬間かもしれません」と本人の口から出てきたとき、初めて現状が成立します。

人に言われた事実は、借り物です。
自分で掴んだ事実は、腹落ちします。

変化のスピードがまるで違います。


組織で改善を加速させるには

この考え方を、会社の中の当たり前にすることが重要です。

つまり、

・改善の前に、現状を特定する
・現状は本人が認識する
・認識なき対策は打たない

これを徹底することです。

多くの組織は逆をやります。

現状が曖昧なまま、
対策だけが会議に並ぶ。

それでは修正は効きません。

やる気がある人ほど、空回りします。


そして、Kさんはどうなったか

一ヶ月後、Kさんに改めて問いかけました。

「一度、自分で整理してみてください。どういう時に、その状態が出ますか?」

2週間後、彼は言いました。

「どうも、集中して長めの業務をこなした時に、姿勢が崩れて座ってしまう時があります。それを見て、皆さんが注意してくれたようです。」

事実を自分で認識した瞬間、改善は一気に進みました。やる気が、正しい方向に向いたのです。


最後に

やる気があるのに成果が出ない。修正しようとしているのに修正が効かない。その背景には、ほぼ例外なく事実の未認識があります。

 

御社ではどうでしょうか。

改善の前に、
本人が事実を掴んでいますか?

それとも、
誰かが指摘して終わりになっていませんか?

組織の成果を加速させる第一歩は、高度な理論でも制度でもありません。

事実を、本人が事実として認識すること。

ここから、すべてが始まります。

ぜひ一度、点検してみてください。