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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第85回 組織を動かすのは、知識ではなく○○である

九州で大きく展開する100億円企業の経営者と第2期のキックオフミーティングの日、午後の2時から開始予定でしたが、1時から社長から直接、第2期の方々の課題確認をすることになっていました。

第1期で自らも進んでコンサルティングを受けていただき、プログラムの流れも理解していただいていたせいか、予定よりも20分ほど早く打ち合わせが終了しました。

社長は、役員2名を含む第1期のメンバーのその後の活躍ぶりを、満足げに話してくれました。コンサルティングを受けた2人の役員と部長の管轄の部門は、いずれも、通年で史上最高の売上を実現したというのです。

「いろんな研修に参加させてきましたが、これほどまでの変化は初めてです、これはすごいプログラムですね」と。

少々の変化では、変化したとは表現しないのが経営者です。満足していただいたからこそ、第1期の途中から、第2期を並行して進めたいと依頼を頂いたわけですが、こうして言葉にされると、大変感慨深いものです。

私も、参加者の方々の顔を思い浮かべながら、「○○さんも、○○さんも、繁忙期を言い訳にせずにやりきってくれましたから、この結果は必然ですね。」と応じると、社長は大きく深く頷きながら聞くと、「第2期もどうぞ宜しく御願いします」と言って立ち上がり「では今日はこれで失礼します」と深々とお辞儀をされ、会議室の横にある第2応接室を後にされました。


私のコンサルティングは、大きく2つのパートで出来ています。一つは、リーダーが組織の成果を持続的に拡大するための、判断基準の整備です。一般的に、マネジメントの判断基準は、経験値を通してのみ獲得しうるものと言われますが、私はそう考えていません。

コンサルティング期間中、判断基準をベースに意図した変化を創りだすことで、即、成果の違いを生み出すことができます。これを繰り返すことで、短期的に成果を上げる組織を創り上げるために必要な判断基準を獲得することが可能になるのです。

そしてもう一つ重視しているのは、判断基準を実際のマネジメントで適用し、社員、部下に変化を生み出す技術です。この技術の会得なくして、判断基準をいくら記憶しても、絵に描いた餅に終わります。

というのも、以前は、この判断基準だけをお伝えするコンサルティングを手がけていたのですが、コンサルティング終了後の変化する幅のバラツキが大きかったのです。そこで、この実際のマネジメントで活かすための、社員に変化を創り出す技術を会得するトレーニングを実施するようになりました。


世の中のリーダー研修、マネジメント研修というのは、判断基準のインストールを目指したものです。しかし、偉人の判断基準、ハイパフォーマーの判断基準を座学で学んだだけでは、インストールにはほど遠い状況だと言わざる終えません。

人の話を聞いて「あー、いい話だなぁ」と納得する場合も、本を読んで一人「うーむ、これは重要だな」と感銘を受ける場合も聞いた直後、読んだ直後は、よもやこんな重要なこと、忘れるはずがないと思うわけですが、3日もすれば、「あれ?なんだったけ?」という忘却の現実に直面します。

もちろん、私を含め、世の講師、コンサルタントが、この知識を覚えるだけで、魔法使いになれますよなんてことは言いません。必ず、「実践を通して身につけて下さい。」そう言います。

ところが、実践を参加者任せにしたら、もう結末は目に見えてます。何も変わりません。実践して身につけるところまで、併走しないことには、リーダーの行動は変わりませんし、組織の成果など変わりようがありません。

正直、コンサルタントとしては、手間と時間が掛かるので、併走というのは、一番省略したい部分です。「こうすればうまくいきますよ」で、終わればこれほど楽なことはないのです。


「正しい泳法の知識を入れれば、誰もがオリンピック選手なみの泳ぎができるようになります!」これを聞いて、「うん、そうだ、そうだ」と膝を叩く人はいません。しかし、大変奇妙なことに、こと幹部研修になると、様相がことなります。

「○○を受講したら分かるだろう!」「○○先生のお話を聞いたら分かるだろう!」というわけです。このことを知ってか、知っていても知らぬ振りをしているのか、自らの力量を高めることのできないリーダーは知識の獲得だけで満足してしまいます。さらに、このことを一度成らずも何回も、人によっては、何年も繰り返しています。

知識の獲得だけでは、組織は変わりません。成果も変わらない。人も安定しないから、ノウハウも蓄積されない。社員に変化を創り出す技術が必須なのです。


以前、全くマネジメント経験のない40代の次世代女性リーダーのコンサルティングをしたことがあります。チームを持って半年後、成果らしい成果を出せないまま、最初の面談の日を迎えました。

自分の至らなさを実感する毎日だ、と反省の言葉を口にした途端、これまで我慢したのでしょう。大粒の涙をボロボロ流したかと思うと、その場で泣き崩れてしまいました。

本を読んだり、上司に相談したりしても、光明が見いだせない。「自分には、マネジメントは無理です」と繰り返していました。組織で成果を出したいけど、それがままならず、日々悶々と悩む。時はただ過ぎていき、状況は悪くなるばかり。毎日が本当に苦しくなる。この助教は良く分かりました。まるで昔の自分を見ているようだったからです。

この女性リーダーの事例のように、うまくやっている人を真似してはみても、成果が上がる気配も感じられない。程度の差はあれど、これが多くの企業のリーダー、マネージャーが経験している悩みです。


辞めて欲しくない社員が、会社に留まり、成果を拡大し続けてくれたら、会社にどれかでのメリットがあることでしょう。

今すぐにでもマネジメントの改善に手をつけなければ、失うものが大きすぎます。マネジメントは必ず改善できます。今すぐ手をつけてください。

単なる知識の吸収ではなく、実践を伴いながら、知識を会得し、そしてそれを使って目の前の一人を動かすことを実践してください。