代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第244回 技術者のリーダーにとって、マネジメント技術の習得は最高の投資である

技術者のリーダーにとってマネジメント技術の習得は、私は最高の投資だと思っています。

技術者でもあり、上場企業のトップでもあるH社長と出会ったのは、もう10年以上前のことです。

未来を担う若手技術者を引き上げ、技術だけで終わらないリーダーを増やしていきたい。そんな思いから、継続的にご支援させていただいています。

H社長は今でも、当時私が組織図を見てお伝えしたたった一言を覚えていると、お会いするたびに話してくださいます。

そんなH社長からのご依頼で、以前支援したリーダーのYさんは、今や新規開発のトップとして、会社の次の成長を担う存在になりました。


名ばかりリーダーだったYさんのスタート地点

Yさんと出会った当初、彼は4名ほどの部下を持つ、小さなチームの課長補佐でした。

ところが、Yさんは自分の作業に没頭し、部下のマネジメントにはほとんど関わっていなかった。著名な大学院を卒業し、頭脳明晰で、技術への理解も深い。本人も「開発の仕事は自分にぴったりだ」と語っていました。

実際、技術者としては申し分なかったのです。では、なぜ問題が起きていたのか。

それは、「成果を出すのは自分」「部下はついてくるもの」という、無意識の前提にありました。


マネジメントに本気になる瞬間は「未来」を考えた時

そんなYさんが、マネジメントに本気で向き合い始めたのは、自分の未来を考えた時でした。

「このままでは、自分が望む未来にはたどり着けない」そう気づいたのです。

技術者に限らずですが、名ばかりリーダーがマネジメントに目覚めるきっかけは、未来を具体的に想像した瞬間であることが非常に多い。

逆に言えば未来が曖昧なままでは、マネジメントは「面倒な仕事」で終わってしまいます。


気になる“優秀な部下”の存在

それまで部下に無関心だったYさんにも実は一人、気になる部下がいました。

周囲も「優秀だ」と認めるその部下は、言われたことはそつなくこなす。しかし、どこか一歩引いた姿勢を崩さない。

技術的な議論をすると、鋭いひらめきもあり、Yさん自身、その部下を高く評価していました。

それなのに、仕事への姿勢は一向に変わらない。次第にYさんの中に、違和感と不満が溜まっていきます。

「能力はあるのに、なぜ前に出ないのか?」


マネジメント技術との出会い

そんなとき、Yさんはマネジメント技術と出会います。

このマネジメントでは、部下との効果的な面談を通じて、部下のパフォーマンスを最低1.5倍に引き上げることを一つのゴールにしています。

この部下の場合、仕事のスキルや成果には問題がない。だからこそ焦点は、仕事への姿勢でした。

ここで多くの方がこう思われるかもしれません。

「考え方や価値観は、そう簡単に変わらないですよね?」

その通りです。一般論としては、非常に難しい。


組織成果を変える鍵は「中堅」にある

ですが、組織の成果を本気で変えようとするとき、鍵を握るのは、Yさんのケースのような中堅社員です。

中堅は、すでに経験値が高く、能力もある。にもかかわらず、どこかブレーキがかかっている。

ここが変わると、

業績へのインパクトは一気に出ます。

実際、この部下もそうでした。


技術者にとっての最大の壁は「コミュニケーション」という誤解

ここで、特に技術者の方がつまずきやすいポイントがあります。

それは、「マネジメント=コミュニケーション能力」だと思い込んでしまうことです。

「自分はコミュニケーションが得意ではない」そう感じた瞬間に、マネジメントから距離を取ってしまう。

実は、私自身もそうでした。コミュニケーション能力がないから、マネジメントは自分には無理だと思っていた。

これでは、多くの技術者リーダーを救えません。


マネジメントは「型」であり、才能ではない

私たちが重視しているのは、人に依存しないマネジメントの型です。性格やスキル、話し上手・聞き上手に依存しない。

実は、面談をする前に、マネジメントの成否はほぼ決まっているこれが私たちのスタイルです。

コミュニケーションを頑張ろうとするほど、うまくいかなくなる人がいる。だからこそ、

コミュニケーション依存度を下げる必要があるのです。


技術者こそ、マネジメントと相性がいい

技術者の世界は幅が広い。最先端技術もあれば、手仕事の技術もある。しかし、どんな技術であっても、一人でできることには限界があります。

かつて、世界トップレベルの研究者の方とお話ししたことがありますが、その方ですら、こうおっしゃっていました。

「一人では限界がある」

チームを動かせた瞬間、会社の未来は大きく変わります。Yさんが実現したかった「革新的な技術開発」も、まさにチームによって可能になったのです。


まとめ:技術者リーダーにこそ、マネジメント技術を

技術者の方がマネジメント技術を学ぶことは、キャリアの遠回りではありません。

最短距離で、より大きな成果を出すための投資です。

御社の技術者リーダーは、名ばかりリーダーになっていませんか?

マネジメントを「才能」ではなく「技術」として学べる環境はありますか?

ぜひ一度、点検してみてください。