代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第4話 理念と日常をつなげよ!

先日ある経営者に一つ質問をいたしました。そうしましたら、よくぞ聞いてくれたとばかりに、「木村先生ちょっとまって てください。」と言うと、社長室までお戻りになり、手に2枚のカードらしきもの をお持ちくださいました。

「これですよ」と誇らしげにカードを開きながら差し出されたものがありました。

名刺代の6つ折のカードの中には、その会社の企業理念、行動規範が書かれて
いました。

「コンサルタントを雇って、作って、社員全員に配ったのだ」とのこと。

自分の思いがこうして明確化されたのは、とても意義があったとお考えのようで、
いくつかの項目については、その成り立ちまで、お話くださいました。

創業社長は、とてもユニークな価値感をお持ちの方が多いなと感じますが、
この社長も、素晴らしい考えの元に企業され、私もお話を聞いていると、深く
深くうなずきつつ、時々、なるほどぉーと膝を叩きたくなるような気になります。

一通りのそのカードに書かれた社長の思いをお伺いした後に、どの程度実践
されているのか聞くと、今度は少々顔が曇りました。

そして、
「1年半前に渡したキリです」と。それから、あわてて思い出したように、
「時々会議では伝えるようにしています」と。

実際にコンサルティングの場面で、その会社の役員の方々と面談する機会がありました。
そのときこの企業理念と行動規範について確認してみると、そもそも、内容すら覚えて
いないこともあって、私の質問に、、
「あれ、そんなこと書いてありましたっけ?」という返事が一人ならず、何人もの
人が答えるわけです。

それを見た時に、とても感心したので覚えているのですが、
その行動指針はかなり具体的に書かれていました。

例えば、会議の時は、具体的にこのようにするべき。
ということが書かれていたのです。が、残念ながら、全く実行されていない様子でした。

なぜそう思ったかというと、
役員の口から出てくる部下の態度に関する問題はまさに
規範に書かれていることとは真逆の状態のお話ばかりだったのです。

社長によれば、理念、行動指針をまとめるきっかけは、離職率が高いことを
懸念してのことであったとのことでしたが、
離職率はこの理念が出来た前も、後も、まったく相変わらず、高止まりのままでした。

その会社が直面していた一番の問題は、売上げの伸びが低いことでしたが、
その大きな理由の一つが、この離職だったのです。

正直なところ、「離職の一番大きな原因=理念や行動規範がないこと」はいつも正解とは
思いません。

ただ、理念や行動規範を作って、それがまったく乖離した状態を放置することは
ゆくゆくとても大きな問題になっていきます。

なぜなら、社員が建前と本音の会社だと思うからです。

「社長は、あのように言ってるけど、本当は○○なのではないか?」
という暗黙知が広がると、手がつけられません。

何が正しく、何が間違っているのか、誰も分からなくなってしまうのです。

念のために、申し上げますが、
私は、理念を徹底すれば、全ての問題が解決するという、理想論者ではありません。
ですが私は、理念を徹底する会社の底力の強さは知っています。

ですから、その力を利用しない手はないと思うのです。

会社を、組織を前に進めることができるのなら、どれも、これも使えば
いいと思います。

さて、話を戻しまして、理念の徹底に関していえば、絶対に必要な一つの
要素があります。

それは、社長の覚悟です。

社長自身が絶対にこれ、徹底させるぞと覚悟を決めなければ、カードを作って渡しても、
経営方針書を渡しても、毎日唱和しても、根付くことはありません。

まずこれが大前提です。

その次に、社長の覚悟が見える状態にすることです。
社長の覚悟が見えるとは、仕組化することです。

まず、社長ご自身は、この覚悟をお持ちでしょうか?
そして、その覚悟が仕組みに落とされているでしょうか?

仕組みが上手くいっているか否かは、すぐに分かります。
それは、社員の日常の行動に反映されているから、分かるのです。

理念と社員の日常をつなげること、これが社長の覚悟から始め、
仕組み落とすことだと私は思います。

御社では、どうなっているのか?是非ご確認ください。