代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第5話 育成する勇気を持て

ある経営者とお話してまして、「これからの事業運営でもっとも改善するべきことは何でしょうか?」と質問させていただきましたら、次のようなお返事を
頂きました。

「木村先生、今年は年初から社員に宣言して、会議の代わりに、研修も取り入れ
ています!」

この話の前に、この経営者に経営環境の話を伺っていましたら、離職が高いと
おしゃってましたので、ちょっと意地悪な質問をさせていただきました。

「社長、もし社員の誰かに『社長は変わりましたか?』と聞いたらなんて
お答えになりますでしょうか?」

社長はしばらくお考えになって、
「変化はないと言うかも知れませんね」と歯切れが悪かったですが、
正直にお答え下さいました。

更にその後に、社長から告白がありました。

・これまで、人材育成は、二の次三の次であったこと、
・「採用をすれば人が来た」ので、「生き残る人材だけで事足りた」こと
・「ダメな奴はダメ」で取り替えることに躊躇はなかったこと

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ブラック企業なる言葉が反乱しています。

ブラック企業を擁護するつもりは毛頭ありませんが、
企業の発展段階を考えますと、

売上げゼロからスタートして、社員にも手厚くなんて、
善悪は別として、そう簡単にできるものではない、
と私は考えています。

社員を育成するには、コストも、時間も、エネルギーもかかること。
鶏か卵かの議論とよくすり替えられますが、

企業は「売上げ無くして全て無し」です。

とはいえ、
企業がある程度の規模になり、利益が出るようになり、
更に成長軌道にのってくると、「ダメな奴はダメ」方式だと必ず限界が
見えてきます。

人が育成できない状態が続くと、その企業文化がボトルネックとなり、
成長スピードにブレーキがかかって未来が消滅してしまうのです。

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「ダメな奴はダメ」が全て悪いわけではないと私は考えています。

ただ、「ダメな奴はダメ」という言葉が社内で聞かれるようになると、
「ダメな奴はダメ」は麻薬のように組織に浸透し、感覚が麻痺していきます。

「ダメな奴」を排除することで、解決することなど何一つないのですが、
感情論を煽れば、「ダメな奴」に問題をすり替えることは簡単です。

一端そうなってしまうと、「ダメな奴はダメ」文化からの脱却を口で言うのは簡単ですが、
組織内に蔓延してしまったこの文化を打ち壊すには、社長の覚悟が求められます。

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「ダメな奴はダメ」文化が定着してしまった時、社長を筆頭に、部下を持つ上司は
社員、部下の弱点ばかりを口にするようになっています。

この文化をぶちこわして、育成文化を創り上げるためには、
一度、極にふるのが得策です。

その極とは、

育成がうまくいかないのは、全て上司の責任

です。

一端全ての言い訳を排除するために、ここに振り切る覚悟が必要です。

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社長を始め、役員、上席の管理職が上から下まで合い言葉のように
「ダメな奴はダメ」と言っていた会社から、この先がないということで、
依頼を受けたことがあります。

社長にはことある毎に言ってもらい、マネジメントの現場では、
やり方を180度変えて、部下の意見を吸い上げる方式に切り替える。

今日の明日では到底無理なことですが、経営陣には4ヶ月辛抱して
実践してもらいました。

社長を含めて5人中5人が、部下の対応の変化を感じるように
なりました。

「ダメな奴はダメ」文化は一丁一端では変わりません。
が、社長が時間と、費用と、エネルギーをかける決断を勇気をもって
できれば、必ず変わり始める。

こんな会社を私はいくつもみてきました。

さて
御社で人は育っていますか?
「ダメな奴はダメ」が免罪符になっていませんか?

御社では、どうなっているのか?是非ご確認ください。