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代表 木村黒バック写真 コラム「組織の成長加速法」-第174回 社員の不満が溜まった時は、ガス抜き?それとも、

リノベーション事業を手がけるY社長からご相談があったのは、コロナの緊急事態宣言が終わって数ヶ月した頃のことでした。リモート需要の高まりと共に、需要が急増していましたが、対応が追いつかない。そんな状況にあって、Y社長には気がかりのことがありました。対応が追いつかない理由が、需要の急増とは別のところにも、あったからです。

Y社長曰く、「今、社内は殺伐とした雰囲気です。」とのことでした。Y社長が頭を痛めていたのは、離職者の増加、それに伴う残った社員の負担増。採用はするものの、ベテランと同じような対応にはならず、お客様からのクレーム増えているとのことでした。

同業界からの転職者に絞って採用活動をしているものの、クレームの原因がその採用活動の方針に起因していました。以前はもらったことのないようなクレームが発生するようになったのです。

これまでなかったクレームは、新しく採用した社員達のお客様に集中していました。よくよく調べていくと、転職者の中の一部は、社内のルールを守らず、以前の職場のやり方で対応していることが原因でした。

Y社長が頭を抱えたのは、クレームの問題そのものよりも、新規で採用した社員の問題点を客様のクレームを通して初めて気がつくという組織になっていることでした。

もちろん、Y社長も、ご自身で考えられる限りの変革を進めていました。

営業のやる気を高めようとして、インセンティブの割合を増やしました。営業の負担を軽減するために、業務フローの検討をしました。長く働く価値を高めるために、報奨金制度も作りました。他にも様々な仕組みや制度を作ったものの、目に見えた結果はでていませんでした。

クレームの急増以外にも、新しい問題が起きていました。一部の社員に負担が重くのしかかり、その社員は繁忙を極めるものの、新たに採用された社員を中心に、のんびりと暇そうにしている社員が混在していたのです。

負担が増える社員から「社長ちょっと良いですか?」といわれる度に、「まさか、退職の相談ではないか?」とY社長は、務めて平静を装いながらも、内心はドキドキだと言います。

 


 

負担が集中し、残業を続けている中核の社員達がこれ以上退職することになっては、売上げを上げるどころか、今の売上げ規模も維持もできない、Y社長は、薄氷の上を踏む思いが続いていました。そんな中で、Y社長が一番手応えを感じているというのが「ガス抜き」でした。

「時々、ご飯を食べさせて、ワイワイやります。これすると、みんな、また頑張ってやってくれます。ガス抜きって、やはり大切ですね。」

 


 

古くから「同じ釜の飯を食う」という言葉があるように、一緒にご飯を食べる行為は、動物の要素を持つ私達人間には、集団で狩りをする動物は、仲間で分け合って獲物と食べ、絆を深めるといいます。一緒にご飯を食べることは特別な意味があるのです。

ただ、組織を維持発展させるために、唯一有効な手段が、ガス抜きのための、「飲ませ、食わせ」だけですと、良い結果になりません。一時的に終わるのです。

 


 

「飲ませ、食わせ」とは違うガス抜きもあります。上司が部下の愚痴を聞くという「ガス抜き」です。

部下によっては、鋭い言葉で上司に不満をぶつけます。上司は、細かなハリが心臓に突き刺ささる痛みを感じながら、「そうだよね。そうだよね。」と部下の愚痴を聞きながらあ、必死に耐える。そして、スッキリした顔の部下が最後に「今日はありがとうございました。」と言うのを、待ち望むのです。

 


 

誰だって、そんな「ガス抜き」をやり続けたいとは思わないでしょう。でも、病むに病まれず続けるわけです。

ズバリ言いましょう。

ガス抜きを繰り返しても、明るい未来は組織に訪れることはありません。ガスは一度減っても、また増えます。同じことが繰り返されるのです。

 


 

愚痴を言うことに慣れた部下は、上司にだけではなく、周りにも更に多くの愚痴を言うことになります。そして周りの部下達は更に疲弊していきます。

組織を維持拡大するために必要なことは、社員の愚痴に一生懸命耳を傾けることではありません。愚痴には際限がないからです。それよりも、社員が愚痴を言い出す状況を根絶することです。社員が不満なのは、頑張っているのに、未来が見えないことです。

 


  

苦しいことの先に、明るい未来が待っていると確信できれば、人は更なる努力を続けることができます。その逆もあります。社員が自分の苦しい現状の先に未来がないと確信したら、ヘナヘナとその場にへたり込んでしまいます。そして、早晩、その社員は、戦線を離脱することになります。

組織が維持拡大するために、必要なものは、社員の成長です。社員が成長の実感をすると、自分の未来に希望を抱くのです。

 


 

ここまで読み進めていただいて、社員の将来を本気で考えている経営者の方は、「よし、社員に成長の実感をさせよう」という気持ちが高まっているかもしれません。

御社の社員が、日々、自分の成長を実感したとしたら、きっと今の問題は氷解していきます。仮に今、Y社長が感じているように、社内の雰囲気が殺伐としている、としても、やがて笑い話の種になることでしょう。

 


 

社員へ成長実感を持たせる取り組みに取りかかる前に、一つ注意いただきたいことがあります。

それは、大人が自分の成長を実感することは難しい、ということです。そのため、社員が自分の成長を自分自身で実感するためには、仕掛けが必要です。

子供の成長は、子供自身にも周りにも、わかりやすいのです。身体も大きくなります。テストが頻繁にあって、勉強して以前分からなかったことが分かるようなったという成長実感も持ちやすいのです。

大人の場合は、身体が横には伸びても、縦には伸びません。身体的には、成長は実感できません。また職場で、日々の業務をこなす中で、毎日毎日、新しいことの連続ということもありません。年単位では、実感できたとしても、日々日々の成長実感を職場で得ることは簡単ではありません。

 


 

成長を実感する仕組みはたった1枚のシートで実現することができます。この仕組みを導入することで、社員は自分の成長を実感し、未来に希望を見いだすことができるようになります。

不満が溜まったら、ガスを抜くのではなく、社員が成長を実感できる仕組みを整えることで、まるで違う組織に変わっていきます。

人が足りない。人が足りない。。。。。やっぱり人が足りない。

かつて経験したことがかった人口減による人不足、厳しい経営環境が私達に迫ってきています。これまでの、なんとなくの対応ではこの難局を乗り切るのは難しい。

社員が成長を実感し、未来に希望を持って、能力を発揮為てもらえる状況を作って参りましょう。