コラム「組織の成長加速法」-第229回 組織で成果を上げ続けるリーダーだけが持つ3つの習慣
一人で奮闘するリーダーたちのジレンマ
先日、ある企業の経営者の方からご相談をいただきました。組織を立ち上げ、30億円規模にまで成長させた手腕の持ち主ですが、組織のリーダー育成に悩みを抱えていらっしゃるご様子でした。組織で成果を上げるリーダーがいる一方で、一人で奮闘するリーダーが大多数を占めるのが現状だといいます。
一人で頑張るリーダーは無能なのではなく、むしろ有能であるがゆえに、自力で成果を上げることができてしまうのです。部下思いで献身的にサポートしているようにも見えますが、結局組織の成果は完全にリーダー自身の頑張りによるものです。そのやり方を変えようとはしません。
経営者が「やり方を工夫してみてはどうか」と指摘しても「はい、わかりました」と返事をするものの、一向に変わる兆しが見えないのです。
組織で成果を上げられないリーダーの行き着く先
組織で成果を上げられないリーダーは、その存在意義が揺らぎます。組織にとっても、リーダー自身にとっても良いことは何一つありません。「売上がなければ全ては無し」です。組織で成果を上げられなければ、リーダーはその立場を維持することはできないのです。組織が機能不全に陥る前に、今すぐ手を打つ必要があります。
成果を出すリーダーに共通する3つの習慣
これまでもお伝えしてきたように、組織で成果を上げるリーダーと、一人で奮闘するリーダーには明確な違いがあります。今回は、組織で成果を上げるリーダーが当たり前に実践している、最も重要な3つの習慣についてお伝えします。これは、1000名以上のリーダーが実践し、継続的に成果を上げている組織に共通するものです。
微差が大差を創り出す
世界的にベストセラーとなった習慣化の分野の著書で、ジェームズ・クリアは、「最初はわずかな差でも、時間が経つと目的地がまったく違ってくる」という考えを、ロサンゼルスからニューヨークへ向かう飛行機の例で説明しています。飛行機の機首がほんの3.5度ずれただけで、最終的にはニューヨークではなくワシントンD.C.に到着してしまうという話です。「わずかな習慣の違い」が、時間とともに大きな成果や失敗につながることを象徴しています。
習慣①:軌道の修正
リーダーの場合、この「わずかな習慣の違い」とは一体何でしょうか。組織の成果を生み出し続けるリーダーの習慣は、以下の3つに集約されます。
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軌道の修正
ニューヨークに向かう飛行機が3.5度ずれてしまうように、組織においても小さなズレは必ず発生します。成果を出すリーダーは、このわずかなズレをできるだけ早く修正します。目標達成のために一度確認しただけで安心してしまうのではなく、軌道をこまめに修正することで、最も効率的に目標へ向かうことができるのです一人で頑張るリーダーは、ここに時間もエネルギーも費やしません。自分で動くことに全力を注いでいるからです。彼らは、軌道修正に要する時間とエネルギーがごくわずかであることを知らないのです。
習慣②:行動量の修正
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行動量の修正
飛行機に例えるなら、これは巡航スピードです。組織の場合、毎週の行動量が維持できているかどうか、が重要になります。やるべきことをやり続ける、つまり行動量を確保することです。組織で成果を出すリーダーは、メンバーの行動量を把握するだけでなく、それを維持させるための手法を持っています。これもまた、ごくわずかな時間とエネルギーでできることなのです。そもそも、一人だけで頑張るリーダーが増え続けるのか?
一人だけで頑張る決して最初から一人で頑張ることを選択したわけではありません。自分なりに部下に働きかけを行っても、良い働きかけ方を知らないために部下を動かせなかった、「諦め」が原因です。何度も言っても動かない部下と向き合い、心が折れてしまうのです。
しかし、働きかけの方法は、たった3時間の講義で誰もが理解できる程度のものです。この「知るか知らないか」が、一人で頑張り続けるか、チームで成果を出すリーダーになるかの分かれ目なのです。
習慣③:無駄な行動の修正
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無駄な行動の修正
組織運営においては、無駄な行動の集積が致命傷となる場合があります。「無くて七癖」という言葉があるように、仕事のやり方においても、本人が気づいていない悪癖を持つ人がいます。これは、他人が指摘しなければ直すことができません。デスクワークでは特に、個々の仕事の進め方が見えにくいため、この無駄は放置されがちです。しかし、この無駄は文字通り、組織全体の生産性を蝕んでいきます。
習慣が組織の未来を変える
やり方を知らなければ、リーダーは迷いとストレスを抱え続け、生産性の低い組織を維持することになります。この3つの習慣を一日も早くマスターし、継続的に成果を生み出す組織を築き上げましょう。